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【3行小説】 俺のMR2 【皆で書き上げる】
- 401 レッド@i 2009/06/25(Thu) 01:39
- 見上げればスモッグだらけの曇った空は、地上にはびこる不健康な光りを浴びて薄紫色に染まっていた。
ぎらつく極彩色のネオン。終夜営業の店が吐き出す白光。
幻想的な夜景ーーなんて言葉があるけど、眺めはその対極に位置する毒々しいリアルだ。
俺は繁華街の光りに包まれながら、ふらふら泳ぐ様に喧騒を渡り歩いた。
大通りを逃れて細い道へ潜ると、扇情的つーか、元気なお兄ちゃんやお父さんの集まる歓楽街がそこに開ける。
差し掛かった雑居ビルの階段から、浮かれた一団が歩道いっぱいに湧いていた。次なる宴会場が決まらず、タチの悪い寒冷低気圧みたいにぐずぐずとその場に停滞していた。
俺はその群れの真ん中を割って突き進む。
「いってえ」
肩になにか当たった。だって、どいてくれないから仕方ない。
「ってえなー…お゛ー、待てよ、あんちゃん゛」
不可抗力を許せない心狭き男が毒づいた。
「悪い、勘弁」
俺は片手を上げて、奴らの戦闘意欲を脇へ捌いた。
夜のこの場所で、こう言う血の気の多い連中を構っていたら、いくら時間があっても足りない。
「ったく、気ィ付けろ馬鹿野郎ー…… 」
この界隈は日中ストレスを溜め込んだやつらの為にある一大遊戯場。
俺と遊ばなくたって、あいつらには暇を潰す手段がいくらでもある。
たとえば居酒屋。たとえばバー。クラブ。カラオケ。ボーリング。オールナイトシアター。ネカフェ。レンタルスペース。金で買えるロマンスを否定しない大人なら、選択肢は飛躍的に増える。らしい。
それでも行く当てのない大きな子供たちは、煙草に火をつけてその場にしゃがみ込む。
マナー知らずの若さがあれば、ストリートは何処だってオープンカフェだ。
そこで、腹が空いてるのを思い出した。
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